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France Provence 2022 Noël 【Aix-en-provence】エクサンプロヴァンス
『Calisson d’Aix(カリソン・デクス)』;エクスのカリソン
Provence-Alpes-Côte d'Azu地域圏(プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール)は、南フランスのうち南東部、地中海沿いの地域です。そのうちの一角、マルセイユを県庁とするBouches-du-Rhône県(ブーシュ=デュ=ローヌ)の古都である『Aix-en-Provence』(エクス=アン=プロヴァンス/エクサンプロヴァンス)。この辺りでは、“Aix”(エクス)と呼ばれ、プロヴァンスを代表する町のひとつです。プロヴァンス伯爵領の首都として古くから繁栄し、現在は学術、芸術都市としてプロヴァンス地方の観光の拠点。明るい印象の、人気の町です。
画家 セザンヌの出身地としても、知られています。
そんなエクサンプロヴァンスの伝統菓子、銘菓として知られる『Calisson』(カリソン)は、南フランス“プロヴァンス”の最も有名なお菓子です。
『Calisson d’Aix』の歴史と誕生、名前の由来について
とても古い伝統の銘菓『カリソン・デクス』が誕生したのは、中世時代の15世紀です。
優秀な王、ルネ(René)は、1409年にフランスのアンジェの町で生まれ、エクサンプロヴァンスで71歳で亡くなりました。ルネ王が、アンジュー公爵、プロヴァンスとフォルカルキエ伯爵、ナポリ、エルサレム、シチリア、アラゴンの王になったときは、25歳でした。
1454年、ルネ王と、ジャンヌ・ド・ラヴァル(Jeanne de Laval)との結婚式が、エクサンプロヴァンスで行われました。ジャンヌはとても美味しいものでも、あまり笑顔を見せない女性でした。砂糖菓子職人は、新しい女王に喜んでもらおうと、この結婚式で、女王の目のような美しい形をした、繊細な新しいお菓子を作りました。それは、アーモンドと果物の砂糖漬けでつくった小さな砂糖菓子でした。
その時のことでした・・・。
そのお菓子を食べたジャンヌはパッと表情が明るくなり、それに驚いた宮廷の側近は、とても好奇心が旺盛で、「女王を笑わせるお菓子の名前はどうしたらいいのか」と尋ねました。
ルネ王は応えました。« Ce sont des câlins » “それは、抱擁です。”と・・・。
それは、プロヴァンス語で« Di calin soun(ディ カラン ソン) »と言います。
この言葉が「Calisson(カリソン)」へと変化し、女王の笑顔を呼び起こすお菓子として、エクスのカリソンが誕生したそうです。
『Calisson d’Aix』伝統のお菓子とは・・・
昔からの特産であったアーモンドを細かく挽いたものと、砂糖漬けメロン、オレンジピールを微妙にブレンドしたペーストを、菱形の型に入れ、グラスロワイヤルと呼ばれる糖衣、王室のアイシング(砂糖と卵白を混ぜ合わせたもの)を覆ったお菓子。カリソン・デクスのレシピは、女王の喜びのために作成されて以来、何世紀にもわたって受け継がれてきました。
1454年以来、それは今でも常に同じ。1/3のアーモンド、1/3の砂糖漬けメロン、1/3のホットシュガーシロップを混ぜ合わせています。「13.3g」という大きさも、ずっと変わらず、そのままなのです。
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『Calisson d’Aix』
エクスの町では、伝統にとらわれない様々な“Calisson(カリソン)”が見られます。パティシエや職人さんたちの研究により、オリジナルのレシピによって作られるカリソンです。色々な色をした様々なフレーバーのものや、沢山色々な種類を食べれるように小ぶりにしたもの、アルコールと合わせたもの、ショコラをコーティングしたものなど・・・。とても食べやすく、美味しく開発されたものです。
厳格な基準を満たしたものだけが名乗ることが出来る、伝統の『Calisson d’Aix(カリソン・デクス)』と、伝統があるからこその、新しく生み出されるお菓子“Calisson(カリソン)”。どちらも、そして、それぞれの共存も、受け継がれ、彩るフランス菓子への長い歴史の中の、とても魅力的な一幕、大切な部分なのだと思います。