Portugal Lisbonne 編


【Portugal】リスボン

 リスボンは、大西洋に注ぐテージョ川の河口から12㎞上流の右岸に位置し、ヨーロッパ大陸最西端の、ポルトガルの首都です。ギリシャ神話の英雄オデッセウスにより築かれたという伝説を持ち、ヨーロッパでも有数の美しさを誇ると言われています。平均気温は16.8℃、年間を通して温暖で、過ごしやすく、「七つの丘の都」と呼ばれる起伏の激しい土地と、首都圏から成り立っています。人口は、起伏の激しい土地に約50万人、首都圏に約250万人、計約300万人の人々が生活しています。
 リスボンの名前は、古代フェニキア人が「良港=Alisibo(アリイスポ)」と名付けたことが由来で、街のシンボルカラーは、白と黒。街中、通りや広場の敷石やモザイクなどを見ると、この配色になっているところに特徴があります。古代フェニキア人とは、海の遊牧民で、紀元前1000年頃イベリア半島に侵入した民族。テージョ川河口の絶好の立地ということから、侵略を受けたことが、リスボンの歴史の始まりでした。そして、1255年ポルトガルの王国の新首都となり、15世紀栄光の大航海時代を迎え、栄華を極めましたが、大航海時代の終わりと植民地経営の悪化、そして1755年のリスボン大地震にて、衰退しました。ヨーロッパ随一の美しさと謳われた街並みは、火災や大津波により、壊滅しました。その震災後、近代都市化が進められ、パリを見本に整然とした街が造られていきました。そして、現在は、かろうじて壊滅を免れた地区に残された中世の趣と、新旧が交錯する独特の街として、魅了されています。

 リスボンの美しさとは、他のヨーロッパの国々のように、誰もが知るようなメジャーな観光スポットや歴史的モニュメントが在るわけではなく、拠点から拠点への目的地への移動を楽しむ街というよりは、途中の雰囲気を大切に感じながら街を感じるところにあります。独特の石畳を踏みしめながら、ゴトゴト走る旧式の市電に揺られ、統一された赤い屋根と赤い建物が傾斜に並び、急な坂道を上り下りするケーブルカー、古い商店の街並み、市民の生活感漂う路地、街の息づかいを肌で感じながら歩くと、何となく懐かしいようなレトロな郷愁を感じます。

 リスボンには、チョコレートショップを見かけることはほとんど無く、『パステラリア』と呼ばれる甘味カフェのお菓子の一部にチョコレートが見られる程度。『パステラリア』とは、ポルトガルで呼ばれる、ケーキや菓子類が食べられる甘味カフェの事で、テラス席、店内(着席・立ち飲み)とテイクアウトと利用は様々ですが、利用法によって料金が異なる特徴があります。地元では、パステラリアはお楽しみのひとつで、休憩がてら、また、朝食やランチ代わりにスウィーツを食べる人も多く見かけます。そのため、老舗カフェが多く存在します。こういったパステラリアには、ポルトガルの伝統、郷土菓子が沢山揃っています。それは、南蛮文化として日本に伝わった、馴染みあるお菓子。カステラやボーロ、ロールケーキやエッグタルト、マフィン、金平糖など、日本のお菓子の故郷のようなそんな風情を、パステラリアのショーケースにはいっぱいに感じられます。

 リスボンは、ユーラシア大陸最西端の首都として、国際的な都市ですが、歴史ある街は、人々の郷愁の在処であり、情緒と風情を感じる、穏やかで和みの存在。今までも、そしてこれからも、“古きよき都”のリスボンであり続けるであろうと、そんな気がします。

【リスボンの石畳
 リスボンの通りのほとんどには石畳が敷きつめられています。形も大きさもバラバラの敷石は、すべて職人の手作業によって出来ています。リスボンのシンボルカラーである、“白”と“黒”の2色で模様が描かれており、これは、リスボンの守護聖人サン・ヴィセンテが1173年に2羽のカラスに守られてリスボンに運ばれた事に基づいています。黒は、死とカラスを、白は、サン・ヴィセンテの純粋性を象徴しています。


「七つの丘の都」と呼ばれるリスボン
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リスボンの石畳
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