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France Provence 2022 Noël 『Noël en Provence』
南仏プロヴァンスのクリスマス 「Noël en Provence」
フランスで「Noël」は、キリスト生誕を祝う宗教行事。家族が集まって一緒に過ごす、一年の中でも大切な、特別な日です。南仏プロヴァンスのNoëlは、気候と自然に恵まれた、この土地ならではの、独自の伝統のクリスマス風景があります。
『Noël en Provence』の時期と流れ
St.Barbara(聖バルバラ)は、鉱夫や花火職人の守護聖人で、12月4日を記念日としています。南仏プロヴァンスのクリスマスの時期は、12月4日、St.Barbara(聖バルバラ)の日に、水に浸したコットンを敷いた3つの小鉢に小麦などの穀物をまき、発芽させるところから、このシーズンが始まるそうです。三位一体を象徴する3つの小鉢の小麦の葉は、毎日水をやると、12月24日には緑の新芽が出て、青々と育ち、祝祭のテーブルを飾ることになります。この麦の育ちによって、翌年の幸運を占うそうです。(この麦の育ちが良いと、翌年の豊作が期待できる・・・、そうです。)
『Santoùon(サントン人形)とCrèche de Noël(クレッシュドノエル)』
南フランス、プロヴァンスで作られる工芸品でもある「サントン人形」は粘土でできた小さな人形で、あるマルセイユ人が完成させたものだそうです。「サントン」は、プロヴァンス語で「小さな聖人」を意味する"santoùon"という語に由来しています。また、その歴史は、18世紀末〜19世紀の始めまでさかのぼります。1789年に、フランス革命の勃発で、教会も富の象徴とされ、崩壊されてしまいました。そのため、人々は教会へ行く代わりに、家で「Crèche de Noël」を飾り、お祈りをしたことが始まり・・・、また、初めてマルセイユでサントン人形の市が開かれたといわれる、1803年からだとも言われています。
聖母や聖ヨセフ、ロバ、牛、羊飼いと羊、魚売りなど、キリスト教の人物とプロヴァンスの田園地帯の職業を表す人物や、人々を馬小屋へ導く天使ブファルなどの人形があります。
11月の終わり~12月の初めになると、教会や各家庭では「Crèche de Noël」づくりが始まります。プロヴァンス地方のミニチュアを背景としたキリスト生誕の場面です。そのミニチュアの背景に、サントン人形を入れ、キリスト生誕風景を飾るそうです。
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エクサンプロヴァンスの
「サントン市」 -
「サントン市」の屋台
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「サントン市」の屋台
『イヴの食卓
;“Le Gros Souper(グロ・スッぺ)”と“Les Treize Desserts de Provence(13のデザート)”』
イヴの夜、キリスト生誕を祝うミサに行く前には、「グロ・スッぺ」と呼ばれる夜食と、「13のデザート」をいただくという伝統があります。
「グロ・スッペ」とは「盛りだくさんな夜食」という意味?ですが、イヴの夜、真夜中のミサに出かける前の腹拵えの夜食です。
メニューは地域や家庭によって様々ですが、伝統的には、野菜や魚類を主体にした(肉抜きの)料理とされています。例えば、伝統的なメニューとしては、エスカルゴやタラ、ボラ、アーティチョークに似たカルドンという野菜やセロリ、キャベツのスープや、ベジタブルスープなど・・・。
また、テーブルセッティングにはいくつかの決まりがあり、三位一体を象徴する3枚の白いテーブルクロスを重ねた上に、過去・現在・未来を象徴する3本の蝋燭を立てた燭台を飾り、マリアの7つの御苦しみを象徴する7皿が用意されます。聖バルバラの麦の小鉢も置かれます。そして、食事の初めから13種類のデザートを出しておくことになっているそうです。
「13のデザート」とは、この伝統的なクリスマスの食卓「グロ・スペ」で用意されるデザートです。“13”という数は、最後の晩餐のキリストと、12の使徒を合わせた象徴の数が由来のようです。“13のデザート”は、特別決まっているわけではなく、地域や家庭によって様々のようですが、基本は、それぞれが4つの修道会(物乞いを表す)を意味するヘーゼルナッツまたはウォルナッツ、アーモンド、干しイチジクと干しブドウの4種の“マンディアン”で、さらに、キリストの生誕が中近東での出来事だったことを示す中近東のドライフルーツの“デーツ”。
あとは、加工されたフルーツ菓子や、ブドウやミカンなどの生果物。白と黒のヌガーも必修のようです。プロバンスの銘菓であるジバシエ(プロヴァンス地方の甘い焼き菓子)またはポンプ・ア・リュイル(オリーブオイルを混ぜ込んだブリオッシュ)、サブレ生地の菓子、ボンボンショコラや、エクサンプロヴァンスのカリソンやマルセイユのナヴェット、などの地方のお菓子も加わるそうです。
それぞれの家庭の伝統で13のデザートがテーブルに用意され、少しずつでも全種類を食べると、新年を豊かに過ごせると言い伝えられています。
プロヴァンス地方の伝統のクリスマス風景のほんの一部分にしかすぎないですが、南仏プロヴァンスのまた違ったNoëlの風景。とてもあたたかく、それぞれの特別な思いや、特別な何かが・・・、 込められているのです。